留学生の日本語面接|「ガクチカ」「御社」の意味と、答え方
日本語の勉強は続けてきた。日本語能力試験にも合格した。それでも、日本の会社の面接になると言葉が出てこない。これは日本語の力だけの問題ではありません。日本の面接には、教科書に出てこない決まった言い方と、決まった聞かれ方があります。それを先に知っておくと、話しやすくなります。
まず、言葉の意味を知る
就職活動でよく使われる言葉があります。辞書に出ていないものもあります。意味を知らないと、質問そのものが分かりません。
- ガクチカ = 「学生時代に力を入れたこと」の短い言い方。学生のときに、何をがんばったかを聞いています。
- 自己PR = 自分の強みを伝えること。ガクチカと似ていますが、こちらは「強み」が中心です。
- 志望動機 = なぜこの会社を選んだか、の理由。
- 御社(おんしゃ) = 話すときに使う、相手の会社の呼び方。
- 貴社(きしゃ) = 書くときに使う、相手の会社の呼び方。面接では使いません。
- 弊社(へいしゃ) = 面接官が自分の会社を指すときの言い方。あなたは使いません。
敬語は、三つだけ覚えれば足りる
敬語は種類が多く、全部を正しく使うのは日本人でも難しいです。面接では、次の三つができていれば問題ありません。
難しい敬語を無理に使うと、途中で文が壊れます。そのほうが印象は悪くなります。短く、正しく話すほうが安全です。
- 文の終わりを「です」「ます」にする
- 相手の会社を「御社」と呼ぶ
- 自分のことは「私(わたし)」と言う。「僕」「俺」は使わない
答えは、結論から言う
日本の面接では、最初に答えを言います。理由や説明は、そのあとです。
先に長い説明をすると、面接官は「何の話か」が分からないまま聞くことになります。最後まで聞かないと結論が来ない話し方は、日本の面接では評価されません。
これは日本語の力とは関係ありません。順番の問題です。順番を変えるだけで、同じ内容でも伝わり方が変わります。
話す例
私の強みは、計画を立てて最後まで続けられることです。大学二年のとき、日本語能力試験N2の合格を目標にしました。毎日二時間、半年間続けました。その結果、一回目で合格しました。
ガクチカは、大きさより中身
「大きな成果がないから話せない」と考える人が多いです。しかし面接官が見ているのは、成果の大きさではありません。
見ているのは、あなたが何を考えて、何をしたか、です。アルバイト、サークル、研究、日本語の勉強。どれでも構いません。
話す順番を決めておくと、その場で困りません。
- 何をがんばったか(一文で)
- そのとき、何が大変だったか
- 自分は何をしたか。ここは「私は」で話す
- どうなったか。数字があれば数字で言う
- そこから何を学んだか
「私は」で話す
「みんなでがんばりました」で終わる答えが、とても多いです。日本語としては自然ですが、面接では困ります。
面接官は、あなた一人を選ぶかどうかを決めています。チームの話だけでは、あなたが何をしたのか分かりません。
チームの話をしてもよいです。そのあとに「私は、その中で◯◯をしました」を必ず足してください。これだけで伝わり方が変わります。
話す例
チーム五人で、店の売り上げを増やす方法を考えました。私は、その中で外国人のお客様向けのメニューを作る係になりました。英語と中国語のメニューを二週間で作りました。
志望動機は、その会社にしか言えない形にする
「成長している会社だから」「グローバルな会社だから」という理由は、多くの会社に当てはまります。当てはまる理由は、選んだ理由になりません。
その会社の商品、サービス、発表など、名前を出せることを一つ入れてください。それだけで、調べてきたことが伝わります。
そのあとに、自分の経験とつなげます。留学生であることは、つなげる材料になります。日本語を学んだ経験、二つの国を知っていること、それを仕事でどう使えるか。
聞き取れなかったときは、聞き返してよい
面接でいちばん多い失敗は、質問を間違えたまま答えてしまうことです。聞き返しても、減点にはなりません。黙っている時間のほうが、長く感じられます。
聞き返し方を先に決めておくと、その場で止まりません。三つだけ覚えておけば足ります。
- もう一度お願いしたいとき: 恐れ入ります。もう一度お願いできますでしょうか。
- 意味を確かめたいとき: 確認させてください。◯◯についてのご質問でしょうか。
- 考える時間がほしいとき: 少し考えるお時間をいただけますでしょうか。
声に出して練習する
書けても、話せるとは限りません。読むときは分かる漢字でも、声に出すと詰まることがあります。
自分の名前、大学の名前、会社の名前、数字。この四つは、詰まらずに言えるまで声に出してください。ここで止まると、内容まで自信がないように聞こえます。
一文を短く切ってください。長い文は、途中で息が続かなくなります。短い文をいくつも並べるほうが、面接では聞きやすいです。
準備の順番
やることが多く見えますが、順番を決めれば一つずつ進められます。
- ガクチカを一つ選ぶ。大きな成果でなくてよい
- 上の五つの順番に当てはめて、書いてみる
- 「私は」で始まる文が入っているか確認する
- 数字を一つ入れる(人数、期間、回数、金額のどれか)
- 声に出して読む。詰まった言葉は、言える言葉に変える
- 聞き返し方を三つ覚える